松露「襲(かさね)」
松露酒造(宮崎県串間市)
税込価格 720ml 2,525円
松露酒造の矢野さんが、ここ数年の社会や嗜好の変化に伴うソーダ割りの広がり、そして「香り」に特徴のある焼酎の定着を認識しながら、今後の焼酎のあり方、松露酒造にできることを考えるうちに、キーワードの一つとして着目した「酸」。
元来焼酎造りにおいてはネガティブな印象を持たれる方もいる「酸」ですが、日本酒やナチュラルワイン、クラフトビールなど、昨今は酸味を特徴とした商品が多く発売され、消費者の酸に対する興味は以前より格段に上がり、醸成されていると感じ、矢野さんの持つ知識と技術を活かして、昨年より「酸」を生かした焼酎造りに取り組んでいます。
通常焼酎造りにおいて活躍する「酸」といえば「クエン酸」や「乳酸」ですが、これらの酸は揮発しない性質を持つため、醪に含まれていても蒸留によって回収することができず、蒸留後にできあがった焼酎には含まれません。
ですが「酢酸」であれば揮発性の為蒸留後にも残ります。そのため矢野さんは乳酸菌のアルコール資化性に着目しました。私スタッフ塚田の補足になりますが、乳酸菌のアルコール資化性とは、「糖が少なくなった発酵後期に、一部の乳酸菌がアルコールを利用して酢酸を作る性質」のようです。
そして矢野さんは、この「酢酸」を製成して発酵に取り入れる方法を考え出しました。
今年の構想は、昨年より軽やかな印象にすること。原料芋を紅まさりから紅はるかに変更することで、まずは全体的な明るさを造ったそうです。そして、通常の醪と並行して乳酸菌とサツマイモ、仕込水のみの醪を作り、アルコール発酵が落ち着いたあとにこの2つの醪をあわせ、乳酸菌に合わせた低温での長期発酵をさせた後、蒸留します。
酢酸は、強すぎると飲用には向かないので、香りと味わいの奥行きが造れる範囲に調整しているそうです。この一年で分かったことに、酸の香りは貯蔵中に徐々に強くなっていくそうです。そういった開栓してからの変化も、ひとつの魅力ですね。
今年は、調和を考え隣町・鹿児島県志布志市にある若潮酒造さんから原酒を提供していただきブレンドしたそうです。さらに、複数回蒸留や樽貯蔵品を基材にした合計6種類の原酒を使用したそうです。
穏やかな酸を感じる立ち香、若いブドウや乳酸、蒸し芋のやわらかさ、樽由来の木香や甘い香り。こういった特徴を十分に楽しんでいただくためには、5:5のトワイスアップ(お酒と水を1:1で割る飲み方)がオススメだそうです。焼酎と同量の冷たい水で割っていただくと14%になりますので、ぜひおためしください。更に香りを楽しむ為に、ワイングラスのような香りを感じやすい形状のグラスでお飲みいただくのもオススメです。
「襲(かさね)」という名前についてですが。平安王朝に萌芽し四季折々の彩を表現した「襲色(かさねいろ)」という日本独自の文化があるそうです。十二単を代表するように重ねた衣装の襟元や袖をずらす事でグラデーションを生み、具象や文様を用いない配色の妙により、使用者の感性や精神性が表現されたそうです。
今回の焼酎の発酵方法やブレンド、今後を担う飲み手の方々へ届けたい想い、今日関わって頂いているすべての方々をかさね、包み込めるような銘柄に育って欲しいという願いを込めて「襲」という名前になったそうです。
ぜひ、矢野さんの努力と想いの結晶をお楽しみください!
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